特集 髄内腫瘍の集大成と新しい話題
特集にあたって
金 彪
1
Phyo KIM
1
1獨協医科大学脳神経外科
pp.1047
発行日 2017年12月25日
Published Date 2017/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200754
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脊髄髄内腫瘍には,脳腫瘍と類似した組織分類が適応されている.しかし,その生物学的あるいは遺伝子的特性は,同名称の脳腫瘍と相同ではない.髄内腫瘍の画像所見,組織系,遺伝子変異,存在様式,播種成長の特性,再発の様式,化学療法・放射線療法への反応性などは,まことに多様である.手術の計画,方針も本来柔軟に対応すべきであるが,教科書では従来からステレオタイプの記載が多い.境界が明瞭であれば良性,摘出可能,不明瞭であれば悪性,組織診断と放射線化学療法,と単純に区分け記載されている感がある.摘出の術式,アプローチにしても,多様で柔軟な方針が求められるのに,まだ多くの解説において単純化されたシェーマがコピー&ペイストされているのが現状であろう.
しかし,「境界ありは良性」,「びまん性で境界なしは悪性」と二分する単純な考え方では,髄内腫瘍の実際のあり方,成長様式と異なるだけではなく,有効な治療法を遂行することができない.
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