Japanese
English
特集 髄内腫瘍の集大成と新しい話題
髄内腫瘍の多様性,手術計画と施行における注意点,集学的な治療戦略
Intramedullary Tumors:Pathological Variabilities and Strategy in Operative Treatment
金 彪
1,2
Phyo KIM
1,2
1獨協医科大学脳神経外科
2宇都宮脳脊髄センター
1Department of Neurologic Surgery, Dokkyo Medical University
キーワード:
上衣腫
,
ependymoma
,
星細胞腫
,
astrocytoma
,
非定型的髄内腫瘍
,
atypical intramedullary spinal cord tumor
Keyword:
上衣腫
,
ependymoma
,
星細胞腫
,
astrocytoma
,
非定型的髄内腫瘍
,
atypical intramedullary spinal cord tumor
pp.1048-1058
発行日 2017年12月25日
Published Date 2017/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200755
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はじめに
脊髄髄内腫瘍の手術治療を積み重ねて累積約300件となったが,いまだにその多様性に驚かされ,診断に苦慮すること,治療に悩むことも多い.教科書の髄内腫瘍の章や総説の記載には,境界明瞭である腫瘍,不明瞭である腫瘍の場合分けと典型的画像が示され,摘出の技法や方針も「わかりやすい」症例が示されていることが多い.
しかし実情は,多数例を経験したエキスパートでも,画像をみて診断に迷うこともしばしばであり,鑑別診断の首位が違っていることも多い.また,発育のパターンと時間経過も多彩で,同じ病理型範疇でも手術治療の方針やリスクの最小化に悩むことも多い.
腫瘍の病理像も,典型的記載にあるものばかりでなく,約1/3は非定型的なもの,頻度の低いもののグループからなり,またそこに非腫瘍性の病変も加わって病態は多彩である.発生頻度が高くないので,あまり高くない経験値に根差して記述されることが多く,診断においても治療においても重大な点において,過度に単純化された記述がコピー&ペイストされているきらいがある.本来の多様性が勘案されておらず,実情から離れている記載も多い.
この総説では,そうした問題点と,実際に髄内病変をみたときに役に立つ実用的な考え方を,限られた紙幅の中でまとめて述べる.
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