Japanese
English
特集 髄内腫瘍の集大成と新しい話題
髄内腫瘍における運動誘発電位(MEP)モニタリングの実際—偽陽性と陽性予測値
Motor-evoked Potential Monitoring during Surgical Resection of Intramedullary Spinal Cord Tumors
黒川 龍
1
,
金 彪
1
Ryu KUROKAWA
1
,
Phyo KIM
1
1獨協医科大学脳神経外科
1Department of Neurologic Surgery, Dokkyo Medical University
キーワード:
脊髄髄内腫瘍
,
intramedullary spinal cord tumor
,
手術
,
surgery
,
神経生理学的モニタリング
,
neurophysiological monitoring
Keyword:
脊髄髄内腫瘍
,
intramedullary spinal cord tumor
,
手術
,
surgery
,
神経生理学的モニタリング
,
neurophysiological monitoring
pp.1085-1090
発行日 2017年12月25日
Published Date 2017/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200761
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はじめに
脊髄髄内腫瘍の摘出手術では,脊椎変性疾患・変形疾患や髄外腫瘍の手術と異なり脊髄組織への侵襲は避けられない.根治的な全摘出を目指せば脊髄組織への侵襲が増し,神経学的悪化の危険性が高くなる.神経症状悪化を避けるために腫瘍と正常な脊髄組織との境界を剝離せず部分摘出にとどめれば,再発の可能性が高くなる.神経学的悪化を最小限に抑えつつ最大限に腫瘍を摘出するためには,術中に脊髄機能を評価する手段が必要となり,さまざまな神経生理学的モニタリングが利用されてきた.体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potential:SSEP)は,後索の機能を反映するため,髄内腫瘍に到達する前に脊髄後索を切開した時点で電位が消えることが多いこと,SSEP波形の消失・維持と術後の麻痺の有無が必ずしも一致しないことから,髄内腫瘍の術中モニタリングとしては適切ではない18).D-waveは,術前から運動障害のある患者では消失している例が多く,また下位胸髄以下の病変では検査できないことから施行可能な症例が限られている5,12).本稿では,運動誘発電位(motor evoked potential:MEP)モニタリングを髄内腫瘍摘出に用いる効用ならびに現実的な限界と,誤った解釈をしないための注意点について,多くの実体験の集計に基づいた解析を述べる.
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