Japanese
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特集 脊椎・脊髄疾患と筋萎縮
Duchenne型筋ジストロフィーに対する新たな治療・バイオマーカー開発の展望
Development of New Therapies and a Biomarker for Duchenne Muscular Dystrophy
柴﨑 浩之
1,2
,
倉岡 睦季
1
,
武田 伸一
1
Hiroyuki SHIBASAKI
1,2
,
Mutsuki KURAOKA
1
,
Shin'ichi TAKEDA
1
1国立精神・神経医療研究センター神経研究所遺伝子疾患治療研究部
2東京理科大学大学院薬学研究科遺伝子制御学
1Department of Molecular Therapy, National Institute of Neuroscience, National Center of Neurology and Psychiatry
2Department of Gene Regulation, Faculty of Pharmaceutical Sciences, Tokyo University of Science
キーワード:
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)
,
エクソンスキッピング(exon skipping)
,
マイクロRNA(microRNA)
Keyword:
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)
,
エクソンスキッピング(exon skipping)
,
マイクロRNA(microRNA)
pp.563-568
発行日 2017年5月25日
Published Date 2017/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200636
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はじめに
筋ジストロフィーとは,骨格筋の変性・壊死を主病変とし,骨格筋萎縮による進行性の筋力低下を呈する遺伝性筋疾患の総称である.その中でもDuchenne型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)は最も重篤で患者数が多く,新生男児の5,000人に1人が発症する.DMDは,ジストロフィン欠損が原因であり,2〜5歳に歩行異常および登攀性起立(Gowers徴候)がみられ,7〜11歳に歩行障害により車椅子に移行する.最終的には20〜50歳代で心不全または呼吸不全により死亡する.また,筋力低下とともに関節拘縮や側弯も進行し,DMD患者の30%では精神遅滞もみられる.現在のDMDの治療では,ステロイド内服による病態進行の緩和や対症療法,リハビリテーションといった集学的な治療が中心である.一方で,根本的治療法の開発が進められており,代表的なエクソン・スキップ誘導治療やリードスルー誘導治療について本稿では解説する.また,DMDにおけるバイオマーカーとしてのマイクロRNA(miRNA)の可能性についても述べる.
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