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特集 高齢者の脊柱変形Up to Date
第3章 特殊病態に対する治療
骨粗鬆症性椎体骨折後後弯に対する治療—硬く急峻な後弯に対するアライメントを考慮した手術治療
Surgical Treatment for Rigid Kyphosis Post Osteoporotic Vertebral Fracture
長谷川 智彦
1
Tomohiko HASEGAWA
1
1浜松医科大学整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Hamamatsu University School of Medicine
キーワード:
骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture)
,
後弯症(kyphosis)
,
手術(surgical treatment)
Keyword:
骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture)
,
後弯症(kyphosis)
,
手術(surgical treatment)
pp.507-513
発行日 2017年4月25日
Published Date 2017/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200623
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はじめに
骨粗鬆症有病率について,大規模住民コホート調査ROAD study27)では,40歳以上のL2-4腰椎の男性3.4%,女性19.2%に存在し,2005年の時点で日本国内では,腰椎骨密度を基準とした骨粗鬆症は約640万人,大腿骨の骨密度を基準とした骨粗鬆症を合わせると,約1,280万人の骨粗鬆症患者が存在すると推定している.また,Tanakaら22)は2,187名の住民コホート調査で,平均63歳の住民において,22.6%の既存椎体骨折が存在し,1年あたり24.9名/1,000名の新規有症状椎体骨折が発生すると報告している.さらに,70歳以降では,70歳代前半の25%,80歳以上の43%に椎体骨折を有するとRossら17)は報告している.Ensrudら4)は6,439名の高齢女性調査で,胸椎椎体骨折の存在は脊柱後弯に関連があることを述べている.このように骨粗鬆症および骨粗鬆症性椎体骨折は非常に頻度が高く,高齢者脊柱後弯変形の原因として重要な疾患である.
本稿では,骨粗鬆症性椎体骨折後後弯の症状の特徴について示し,さらに変形癒合による硬い後弯変形に対する椎体骨切りを併用した矯正手術の術式選択基準と,固定範囲決定の方針について述べる.
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