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Parkinson病の脊柱変形の特徴
Parkinson病(PD)の発症年齢は50〜65歳に多く,本邦での有病率は人口10万人あたり100〜150人と考えられ,社会の高齢化に伴い患者数が増加している9).2030年には50歳以上人口における患者数は13万人に達すると推定されており5),PD患者の外科治療の機会はさらに増加するものと考えられる.外科治療の適応に際しては,PDの脊柱変形の特徴を理解して術式選択を行う必要がある.
PDの特徴的な姿勢異常としてcamptocormia,首下がり,Pisa症候群などがあり,頸部〜背部の伸筋群の筋力低下や屈筋群のジストニア(持続的な筋緊張による,捻転性または反復性の運動や異常姿勢)が原因となる.われわれのPD患者48名の解析では,PDの重症度を示すHoehn-Yahr重症度分類が重度になるに従い,sagittal vertical axis(SVA),胸腰椎後弯角の増加と腰椎可動域の減少を認めた(図1).また,同じくPDの重症度の指標となる統合Parkinson病評価スケールでも,重症化に伴い胸椎後弯角および胸腰椎後弯角の増加を認めた(図2).すなわち,PDの重症化により,胸椎〜胸腰椎移行部の後弯増加を伴い体幹前傾の進行をきたす.また,年齢,性別,SVAをマッチさせた成人脊柱変形(adult spinal deformity:ASD)患者と比較を行うと,PD患者は腰椎前弯角,胸椎後弯角とsacral slopeは有意に大きく,pelvic tiltは小さかった(表1).すなわちPD患者は,一般人にみられるような,腰椎前弯減少に対する胸椎後弯の減少や骨盤の後傾化といった代償機構が十分機能しないまま体幹の前傾姿勢が認められ,骨盤を含めた体幹全体で前傾化が起こりやすいことが明らかとなった22).
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