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はじめに
近年,超高齢社会を迎えるとともに,活動的に生活できる期間である健康寿命の概念が定着しつつある.そのために,高齢者の脊柱変形に対する手術症例が増えている.本邦の成人脊柱変形矯正手術の特徴として,高齢者が多いこと,変形の原因に変性疾患が多いことが挙げられる10).中でも変性側弯(後側弯)症は65歳以上の高齢者手術例の53%を占めており,本邦においては高齢者の脊柱変形で最も多い病態と報告されている10).変性後側弯症は,下肢の神経症状を伴うことも多く,後弯が進行し矢状面のインバランスが生じると著しい機能障害が生じる.われわれは,このような重度の変形例に対して,Schwabの骨切り分類6)でgrade 2にあたる多椎間後方要素骨切り(posterior column osteotomy:PCO)を用いた後方矯正固定術を施行してきた(PCO法).PCOを用いた方法で良好な矯正が得られていたが,術中の出血量が多いことが高齢者に行う手術としては大きな問題であった.ところが,変性後側弯症に対する手術療法はlateral lumbar interbody fusion(LLIF)の出現に伴って大きく変わってきている.LLIFは側方アプローチから大きなケージで直接的に椎体間を開大するために,側弯の矯正と間接的な脊柱管や椎間孔の除圧が同時に可能である.また,臓器損傷や血管損傷の生じる危険性はあるものの,術中出血量は少なく低侵襲な術式である.そのため,変性後側弯症の手術に用いられている1,2,5).われわれは2014年からLLIFを併用した二期的矯正固定術を施行している(LIF法).本稿では,高齢者の変性後側弯症に対するわれわれの手術方法を紹介し,その手術成績について述べる.
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