視座
骨と材料の界面
岡 正典
1
1京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野
pp.1069-1070
発行日 2000年9月25日
Published Date 2000/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903078
- 有料閲覧
- 文献概要
人工材料の臨床応用に際して最も重要な問題は,全て材料と生体との界面(interface)で生じる.骨格系人工材料では,この界面における骨の生体反応をよく理解することが大切である.
材料一般についていえば,体内に人工材料をインプラントすると最初に多核白血球を主役とする急性炎症反応が起こり,リンパ球,マクロファージによる異物反応に続いて,線維芽細胞により材料を取り囲む線維化が慢性反応として起こってくる,生体適合性の悪い材料では,いつまでも材料周囲の異物炎症反応が消退せず,線維組織による被包化が起こらないが,この被包化が完成した際にその材料は,生体不活性(バイオイナート)な材料として一応生体に受け入れられたと解釈される.全ての人工材料は生体にインプラントされた際に,皮下,骨髄内など,部位を問わず線維組織によって被包されるのが通常であったが,この常識を打破したのがバイオアクティブセラミックであった.ハイドロオキシアパタイトやAWガラスセラミックが骨内にインプラントされると,骨との間に線維組織の介在なしに直接結合することが可能で,この結合のメカニズムについても研究が進み,セラミック表面に形成されるアパタイト層を介して骨と材料が直接結合することがわかった.人工材料で線維組織に被包されることなく,直接に生体と接合するバイオアクティブセラミックは,まさに画期的な人工材料といえる.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.