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特集 脊椎外傷—捻挫から脊髄損傷まで
第2章 脊椎損傷の診断と治療
環軸関節回旋位固定の診断と治療
Diagnosis and Therapy of Atlantoaxial Rotatory Fixation
北村 和也
1
,
松本 守雄
2
,
石井 賢
2
Kazuya KITAMURA
1
,
Morio MATSUMOTO
2
,
Ken ISHII
2
1平塚市民病院整形外科
2慶應義塾大学整形外科学教室
1Department of Orthopaedic Surgery, Hiratsuka City Hospital
キーワード:
環軸関節回旋位固定(atlantoaxial rotatory fixation)
,
軸椎関節変形(C2 facet deformity)
,
リモデリング療法(remodeling therapy)
Keyword:
環軸関節回旋位固定(atlantoaxial rotatory fixation)
,
軸椎関節変形(C2 facet deformity)
,
リモデリング療法(remodeling therapy)
pp.331-338
発行日 2016年4月25日
Published Date 2016/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200350
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はじめに
斜頸は頸椎運動障害の代表的疾患であり,頸部が斜めに拘縮位をとるものを総称する(図1).その原因には筋性,痙性,習慣性,眼性,耳性,骨性,関節性などがある.脊椎変形に基づく斜頸には先天性頸椎奇形と環軸関節回旋位固定(atlantoaxial rotatory fixation:AARF)によるものがあり,後者が圧倒的に多い9).AARFは1830年代にBell1)により初めて報告され,多くの症例は小児に発生する.外傷あるいは上気道感染に続発して発症するため,初診時に必ずしも整形外科を受診せず,診断の遅れが生じ発症から数カ月後に陳旧例として確定診断に至ることがある.発症早期に診断された急性AARFの大部分は,局所の安静,頸椎カラーの装着,あるいは牽引療法などの保存的治療で比較的容易に治療可能な予後良好な疾患である9).一方,発症後2〜3カ月以上経過し診断された陳旧性AARFは,整復困難や再発のため保存的治療に抵抗性のことが多く,外科的治療が唯一の治療法となることが多かった.
われわれが提唱したリモデリング療法7,8,10,11)は,これまで外科的治療を選択せざるを得なかった陳旧性AARFに対しても,その大部分の症例で保存的治療を可能とするため,新たな治療法として世界的にも認知されてきた.本稿では,AARFの病態,画像所見に基づいた分類,急性期および陳旧性AARFの治療,特にリモデリング療法の実際と最新の治療成績について概説する.
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