特集 仙腸関節の基礎と臨床
特集にあたって
徳橋 泰明
1
1日本大学医学部整形外科学系整形外科学分野
pp.167
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200314
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今月号の特集は,「仙腸関節の基礎と臨床」です.仙腸関節は,仙骨の両側外側部と腸骨が接して形成されている関節です.近年,この仙腸関節が2つの理由で注目されるようになりました.
1つには仙腸関節の機能障害による痛みについてです.仙腸関節に関連する痛みについては,現在なお議論が絶えません.最近,非特異的腰痛が見直され,同じ非特異的腰痛でもその原因は異なり,非特異的腰痛の中にこの仙腸関節由来の痛みがあることが判明し,しかも決して少なくないとされています.仙腸関節に起因する痛みの大部分は機能障害であるため,画像による診断は困難です.そのため,確定診断には仙腸関節ブロックによる症状の軽快をもってすることが臨床上多いとされています.しかし,仙腸関節に起因する痛み,仙腸関節機能障害については,非特異的腰痛全般と同様に科学的視点からの研究が少ないのが現状です.本特集では,この方面で長年研究をなされてきた日本仙腸関節研究会の先生方に診断,診断のピットフォール,そして治療についてご執筆いただきました.また,AKA-博田法(これに関連する講演会を開催するといつも超満員でした)についても長年携わっていらっしゃいました片田重彦先生にお願いして,その概略についてご執筆いただきました.また,欧米ではこの仙腸関節痛の治療目的で長年固定術が行われてきましたが,日本での手術成績の報告は少ないのが現状です.そこで,村上栄一先生に平均10年弱の長期術後成績をご紹介いただきました.
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