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イラストレイテッド・サージェリー 手術編Ⅱ-81
感染性脊椎炎に対する二期的手術法
Two Staged Surgical Treatment Using Posterior Spinal Instrumentation for Vertebral Osteomyelitis
清水 克時
1
,
日野 雅之
2
,
藤田 勝
2
,
松田 芳郎
2
,
安良 興
1
,
宮本 敬
1
Katsuji SHIMIZU
1
,
Masayuki HINO
2
,
Masaru FUJITA
2
,
Yoshiro MATSUDA
2
,
Ko YASURA
1
,
Kei MIYAMOTO
1
1岐阜市民病院整形外科・脊椎センター
2独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)宇和島病院整形外科
1Gifu Municipal Hospital Spine Center
pp.767-773
発行日 2015年9月25日
Published Date 2015/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200203
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適応疾患
感染性脊椎炎に対する二期的手術法とは,前方病巣に手を加える前に,脊椎後方から内固定し,間をおいて二期的に前方病巣郭清+骨移植を行う方法である.この方法は,1回目の手術後すぐに除痛とADL改善が得られ,全身状態がよくなるという利点がある.脊椎感染症の手術には,低侵襲手術,一期的手術(前方単独,前方+後方)そして,われわれの二期的手術法(後方→前方)があり,それぞれ長所と短所がある.二期的手術法(後方→前方)は慎重な方法で,広範囲,全身状態不良,耐性菌などの悪条件に勧められる安全性の高い手術である.
化膿性脊椎炎,結核性脊椎炎,真菌性脊椎炎で保存治療に抵抗するもの,骨破壊の大きなもの(図1),麻痺,全身状態の不良なものが適応である.菌の同定ができ,抗生剤の感受性がわかれば抗生剤選択の助けになるが,この情報がなくても二期的手術法は可能である.MRSA感染にも有効である.一期手術と二期手術の間隔は,最短3週から半年くらいまで選択できる.間隔は全身状態や炎症所見をみながら決定する.後方固定は準緊急で手術することが多いが,前方手術は予定手術として実施できる.これも本法の利点である.後方固定のみで前方手術をせずに治癒することもあるが,逆に後方手術のあと症状がよくなって,経過観察から脱落して再燃することもある.慎重に経過観察することが必要である.
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