Japanese
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特集 めまい―最新のトピックス
脳脊髄液減少症
Cerebrospinal fluid hypovolemia
國弘 幸伸
1
,
相馬 啓子
2
Takanobu Kunihiro
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科
2日本鋼管病院耳鼻咽喉科
pp.59-65
発行日 2011年1月20日
Published Date 2011/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101734
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Ⅰ.はじめに
脳脊髄液減少症は,脳脊髄腔から髄液が漏出することによって生じる。最も顕著な症状は座位または立位において出現または増悪する緊張型の頭痛である。この頭痛は臥位をとることによって軽快・消失する。しかし本疾患では頭痛以外にも多彩な神経症状が出現する(表1)。めまいも出現頻度の高い症状である。
脳脊髄液減少症患者の大多数は,職を失ったり長期の休職を余儀なくされている。家族の介護なしでは日常生活すら満足に送れない患者も少なくない。しかし,正確な診断がなされることなく,長年にわたってさまざまな医療機関や診療科を転々と受診していることがある。
本稿では脳脊髄液減少症の診断に重点を置いて,本疾患でみられるめまいや随伴症状の特徴を述べる。脳脊髄液減少症は決して稀な疾患ではない。本稿が読者の皆様の日常臨床に役立てば幸いである。紙数の都合で治療については述べない。また,個々の症例の紹介も別の機会に譲ることとする。
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