Japanese
English
特集 脳脊髄液漏出症の診断と治療
小児の脳脊髄液減少症
Cerebrospinal Fluid Hypovolemia in Children
篠永 正道
1
Masamichi SHINONAGA
1
1国際医療福祉大学熱海病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery,International University of Health and Welfare Atami Hospital
キーワード:
小児(children)
,
脳脊髄液減少症(CSF hypovolemia)
,
脳脊髄液漏出症(CSF leak)
Keyword:
小児(children)
,
脳脊髄液減少症(CSF hypovolemia)
,
脳脊髄液漏出症(CSF leak)
pp.965-970
発行日 2016年10月25日
Published Date 2016/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200477
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はじめに
かつて,脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の報告は成人例に限られていた.特発性低髄液圧症候群の報告は成人例のみで,外傷性脳脊髄液減少症も小児例の報告はなかった.小児の脳脊髄液減少症についてのまとまった報告は,2007年7月ストックホルムで行われた第13回国際頭痛学会での報告(M. Shinonaga:Cerebrospinal fluid hypovolemia in children and adolescents)が初めてである3).その後,高橋らの論文5)や中川らの著書1)で小児例が詳しく述べられている.小児例の脳脊髄液減少症は決してまれではなく,診断に至る例が限られているだけである.多くは学校内での出来事,体育授業,部活などによる外傷が原因である.交通事故例もあるが,成人例と著しく異なり,原因として自転車走行中の事故または歩行中に車にはねられる事故が多い.また,難治性片頭痛,起立性調節障害と診断されている中にも脳脊髄液減少症が少なからず含まれていると推測される.頭痛の教科書で有名なWolff's HeadacheのHeadaches in Childrenの項では,低髄液圧症候群ないし脳脊髄液減少症はまったく述べられていない6).小児科学の分野では,小児の脳脊髄液減少症はその存在すら認められていないのが現実である.本稿では,小児の脳脊髄液減少症の典型例を提示し,最近経験した症例のまとめを紹介し,課題・問題点についても述べたい.
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