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特集 高次脳機能障害の作業療法—医療・介護・福祉の各視点から
高次脳機能障害者支援における医療・介護・福祉の連携
Professional collaboration between medical care, nursing care and disability welfare in support of people with higher brain dysfunctions
原 麻理子
1
Mariko Hara
1
1国際医療福祉大学
pp.960-964
発行日 2024年9月15日
Published Date 2024/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203928
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Key Questions
Q1:なぜ医療・介護・福祉の連携が必要なのか?
Q2:高次脳機能障害者支援における医療・介護・福祉の連携はどのような現状か?
Q3:高次脳機能障害の本質を捉えた支援とは?
はじめに
高次脳機能障害とは,脳血管疾患,変性疾患,頭部外傷等の脳損傷に起因する認知障害全般をいう.本稿で扱う高次脳機能障害はこれを指す.一方,行政サービスを受けるうえでの定義は,「現在,日常生活または社会生活に制約があり,その主たる原因が記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害などの認知障害である」とされ,厚生労働省により具体的な診断基準が設けられている.ちなみに高次脳機能障害支援普及事業は,都道府県が指定する支援機関がこの4障害に加えて失語症や他の高次脳機能障害にも対応している状況を鑑み,2013年(平成25年)に「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業」と名称変更されている.
高次の脳機能には,記憶,注意,遂行機能の他にも,対象認知,空間認知,行為,言語等,多くの機能が存在する.したがって高次脳機能の障害像は多様であり,各障害特徴に応じた支援が必要となる.そのため支援には専門的知識が不可欠であり,医療職がこの知識をもっていることが多い.一方,実生活の困りごとは,医療機関の中からはみえにくい.さらに医療職は,就労支援で求められるビジネスマナーや企業側の事情に疎い.したがって退院後のニーズには,介護保険や障害福祉領域における各専門職のスキルが必要となる.このように高次脳機能障害者の支援には,医療・介護・福祉の連携が不可欠だが,他の障害と比べて連携が進んでいない状況がある.
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