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特集 高次脳機能障害の作業療法—医療・介護・福祉の各視点から
医療機関(入院リハビリテーション)ですべきこと,他の領域へ期待すること
Occupational therapy for higher brain dysfunction during hospitalization and expectation for post-discharge occupational therapy
早川 裕子
1
Yuko Hayakawa
1
1横浜市立脳卒中・神経脊椎センター
pp.965-970
発行日 2024年9月15日
Published Date 2024/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203929
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Key Questions
Q1:高次脳機能障害者の医療機関での役割は?
Q2:作業療法士が評価や訓練よりも大切にすべきことは?
Q3:医療機関と支援機関の相互関係における課題は?
はじめに
山鳥1)は,病者として高次脳機能障害者本人が抱える問題は極めて複雑であることを指摘したうえで,「障害構造の正確な把握こそが,患者との正しい治療関係確立の第一歩になる」と述べている.医療機関の作業療法士は,この第一歩をつくる人である.患者にとって最初に出会う作業療法がよいものであれば,退院後に続く機関での作業療法に期待をもってもらえる可能性をつくる.
しかし,残念ながら,私の周りでは正しい治療関係の第一歩が踏み出せなかった例が少なからず存在する.地域機関の利用者と高次脳機能に関する話をすると,「病院では高次脳機能障害のリハビリなんてなかった」,「テストばかりされた」等と言われることがある.また職員からも,発症当初の対応が影響し,作業療法士の訪問を拒否されたと聞いたこともある.
医療機関の作業療法士がすべきことの中核は,医療機関で得られる情報を駆使して,高次脳機能の障害構造をできるかぎり理解することである.ここでいう情報は,収集された情報だけでなく,作業療法士のかかわりとその結果得られたことも含む.よりよい一歩を踏み出すために,医療機関の作業療法士が踏まえること,すべきことについて,私見を述べる.
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