特集 地域精神保健・医療の今日的課題
高次脳機能障害者の実態と自立支援
中島 八十一
1
1国立障害者リハビリテーションセンター学院
pp.417-421
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101571
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高次脳機能という用語が持つ正統性と比較すると,高次脳機能障害という用語は高次脳機能が障害された状態であるとする医学的見地からの了解は得られるものの,その位置付けは確かさを欠く.この種の病態について欧米で普通に使われる用語は「認知障害」である.認知障害には感覚認知機能ばかりでなく,行動面での問題まで含むのが普通である.一方で,交通事故による脳損傷に基づく後遺症を持つ当事者や家族が医療・福祉サービスの充実を広く訴え始めた1990年代後半には,その後遺症を示すために「高次脳機能障害」という用語が用いられた.そこで当該後遺症について政策を考える際にもこれを用いた.
本稿で使用する「高次脳機能障害」という用語は,その延長線上にある行政的診断基準に基づいている.
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