長期入院の統合失調症患者に対するカラオケ時の肯定的フィードバックが自律神経系と心拍数に与える影響

Effects of positive feedback for patients with long-term hospitalized schizophrenia during karaoke on the autonomic nervous system and heart rate

Abstract：長期入院の統合失調症患者18名に対し，言語的・非言語的肯定的フィードバック（FB）実施時と未実施時のカラオケ前後の自律神経反応と心拍数を把握し，主観的評価や観察評価だけでは把握困難なFBの生理学的治療効果を検証した．分析は，肯定的FB実施時と未実施時のそれぞれのカラオケ前後の副交感神経系（HF），交感神経系（LF/HF），心拍数の値を比較した．その結果，肯定的FB実施時のみ，有意なHFの上昇，LF/HFの低下，心拍数の低下が認められた．これは，対象者と関係性の良好なOTがカラオケ時に声が出ていた部分や力を込めていた部分に言語的肯定的FBを行うとともに，非言語的肯定的FBである拍手やうなずきを行ったことで，安心してカラオケに取り組むことができた結果である可能性が考えられた．以上より，長期入院の統合失調症患者に対するカラオケ時の言語的・非言語的肯定的FBが自律神経反応や心拍数に好影響を与える可能性が生理学的にも示唆された．