増刊号 急性期における疾患別作業療法
第6章 精神科急性期の作業療法
2 急性期統合失調症における作業療法—精神科救急急性期医療入院料病棟での作業療法
若松 伸宏
1
Nobuhiro Wakamatsu
1
1福岡県立精神医療センター太宰府病院
pp.993-999
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203492
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はじめに
日本の精神科病床の平均在院日数は1996年(平成8年)には441日だったが,2017年(平成29年)には268日まで減少した1).COVID-19の影響か2020年(令和2年)には294日2)に微増しているが,平均入院期間は過去15年間で約150日減少しており,今後さらに減少すると予想される.
一方,統合失調症だけでみると,平均在院日数は1996年が606日,2017年が532日,2020年が571日と,過去15年で35日しか減少していない1,2).気分障害の平均在院日数が100日前後,ストレス関連障害が50日前後であるところからみても,統合失調症は入院が長期化する疾患といえ,効果的な退院促進と地域移行が課題といえる.Birchwoodら3)による統合失調症の治療臨界期仮説に基づけば,発症から5年程度の早期の時期に積極的かつ重点的な手厚い介入を提供することで,その後の長期にわたり症状や機能を良好に保つことができるとされている.日本の精神医療では,精神科救急急性期医療入院料病棟(以下,精神科救急病棟)が,早期介入する二次医療機関として,統合失調症の初発ケースや急性憎悪に対応している.施設基準上,OT配置は絶対条件ではないが,リハにおいてOTが重要な役割を担っていることは揺るぎない事実である.
本稿では,当院を含めた県内の精神科救急病棟を有する4施設へのインタビュー(表)を基に,統合失調症の急性期治療を担う精神科救急病棟での作業療法について紹介し,今後の課題についてまとめたい.
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