増刊号 急性期における疾患別作業療法
第5章 急性期におけるチーム医療と合併症管理
5 精神科リエゾンチームとOTのかかわり—MPUでのリハとせん妄予防の取り組み
樋口 朋子
1
,
内田 勇
1
,
大内 秀高
1
,
渡辺 剛
1
Tomoko Higuchi
1
,
Isamu Uchida
1
,
Hidetaka Ouchi
1
,
Tsuyoshi Watanabe
1
1山梨県立中央病院
pp.978-983
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203489
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はじめに
当院は山梨県で唯一,三次救急の受け入れを行っている医療機関であり,2019年度(令和元年度)から厚生労働省より指定を受け,高度救命救急センター(以下,救命センター)として重症外傷や特殊疾病患者を24時間体制で受け入れている.自殺企図により搬送される患者も多く,急性期の精神疾患患者に対する精神科医療のニーズの高まりの中で,2018年度(平成30年度)には,医師,精神科認定看護師,精神保健福祉士等の多職種から構成される精神科リエゾンチームが結成され,「精神科リエゾンチーム加算」が算定可能となった.また2019年11月には,救命センター内に精神身体合併症病棟(medical psychiatry unit:MPU)が新設される等,急性期での精神科医療体制が整備されてきた.
当院作業療法部門が担当する精神症状を有する対象者は,入院後に生じたせん妄や抑うつ症状を有する患者や,自殺企図により手指の屈筋腱損傷や骨折,脊髄損傷となった患者等である.当院には精神科専門病床が存在しないため,「精神科作業療法部門」の立ち上げが困難である状況から,身体領域で働くOTが身体疾患と精神疾患を合併した患者への介入を行っている.そのためここ数年,精神疾患を合併した患者への作業療法の質の向上のために,精神科病院での研修や,他県での施行状況の情報収集を行う等,試行錯誤を重ね,工夫しながら実践してきた経過がある.
今回は,急性期総合病院である当院の多職種連携の一例として,精神科リエゾンチームとの連携や協働が深いMPUでのリハと,せん妄予防としての院内デイケアの取り組みについて報告する.
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