特集 精神症状に強くなる
怒りを現わす患者への対応—リエゾンナースとしての事例へのかかわりから
片平 好重
1
1関東中央病院
pp.721-725
発行日 2000年8月1日
Published Date 2000/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903525
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はじめに
私は,1997年4月よりリエゾン精神専門看護婦(以下リエゾンナースと略す)として勤務している.私のリエゾンナースとしての仕事は,(1)患者や家族の直接ケア,(2)患者ケアに関するコンサルテーション,(3)ナースのメンタルヘルス支援,(4)教育,(5)研究,(6)連携・調整,といった6つの柱からなっている.入院生活や治療への適応が難しく,対応困難な患者やその家族の看護に関してのコンサルテーションは,看護婦や医師から相談用紙に記載されて依頼を受ける場合や,病棟ラウンド中に直接声をかけていただき相談を依頼される場合があり,その時点から活動を開始している.リエゾンナースとして活動していると,臨床現場のナースは,生死にかかわる緊張感のなかで,患者の生きることそのものに心をよせ,さまざまに心を揺さぶられる体験をしていることを実感する.私はそこに自分自身の臨床ナースとしての経験を重ね合わせ,強い共感をおぼえている.
本稿では,さまざまな精神症状のなかでも,ナースが対応に困難を覚えることの多い「怒り」についてとりあげ,リエゾンナースの立場でかかわった事例を紹介し,ナースはどのように対応することが可能なのか検討してみたい.
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