増刊号 急性期における疾患別作業療法
第2章 急性期脳卒中患者に対する作業療法
6 急性期脳卒中患者に対する高次脳機能障害への介入
早川 裕子
1
,
石渡 大地
1
,
須藤 淳
1
Yuko Hayakawa
1
,
Daichi Ishiwatari
1
,
Jun Sudo
1
1横浜市立脳卒中・神経脊椎センター
pp.835-840
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203463
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はじめに
急性期脳卒中患者の高次脳機能障害を理解するうえで常に意識したいと思っていることがある.それは,私たちが対象とする急性期脳卒中患者は,今まさに,「こころとからだが最も離れている状態にある」ということである.
脳卒中を発症した直後,筋骨格系は何らの廃用も生じておらず,筋肉量はいわゆる「病前」に最も近しい.一方,その保存された筋を動かす司令塔である脳は,健康な状態からは最も遠い状況にある.
加えて,対象者を取り巻く病院という環境は,対象者にとって最も日常から離れた環境である.つまり,急性期の高次脳機能障害の作業療法は,最も健康から遠い状況にあるこころをもち,最も日常生活から乖離した病院という環境で生活している方を対象としているといえる.
急性期の作業療法の役割は,これから続く回復期・生活期に影響する障害を,できるかぎり小さくすることである.しかし,急性期高次脳機能障害に対する,エビデンスのあるリハはいまだ存在しない.本稿では,当院での日々の臨床で私たちが心がけていること,行っていることを述べる.
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