増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第3章 支援技術Ⅱ 急性期から回復期の個別性を重視した介入(事例報告)
1 —高次脳機能障害がある方への作業療法④失行—失行(道具使用の障害)
花田 恵介
1
,
石橋 凜太郎
2
,
早川 裕子
3
Keisuke Hanada
1
,
Rintaro Ishibashi
2
,
Yuko Hayakawa
3
1阪和記念病院
2村田病院
3横浜市立脳卒中・神経脊椎センター
pp.854-858
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202623
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はじめに
脳卒中診療にかかわるOTは,麻痺や体性感覚障害がないか,あってもごく軽いにもかかわらず,ふだん何気なく使っていた道具をうまく使えなくなった対象者に出会うことがある.そのような症状は「失行」と呼ばれ,失語や失認にならぶ代表的な神経心理症候の一つである.
しかし,失行には定義や特徴づけに多くの考え方があり,まったく異なるメカニズムをもつ行為障害であっても同じ「失行」と名づけてしまっている場合がある.その結果,「効果がある」と報告されたアプローチを眼前の対象者に実施しても,まったく効果がないこともあり得る.効果のある作業療法を展開するためには,対象者の行為をよく観察し,要因を調べ,評価したうえでアプローチを計画する必要がある.
本稿では,従来の「失行」の範疇にとどまらず,「道具をうまく使えないこと」について,戦略的に評価し,アプローチする視点を紹介する.また,自験例を通してその実際を述べる.
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