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はじめに
1989年(平成元年)創刊の本誌が,連載で「組織マネジメント」を取り上げるのは今回が初めてである.では,作業療法の学術的な研鑽の材料とその関連情報の提供を担う本誌が,なぜ今,組織マネジメントを取り上げるのか.その答えは,急激に増加したリハ専門職をマネジメントする人材の不足と,二次的に生じることが予測される若いマネジャーおよびプレイング・マネジャーの増加によるマネジメント不足の改善が,われわれの業界の喫緊の課題であるためである.
われわれOTとPTは,1999年(平成11年)の「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」改正に伴う学校養成施設の増加1)に比例して急増した.厚生労働省によると,2022年(令和4年)の国家試験合格者数は,OT 4,608名,PT 10,096名2),ST 1,945名3)であり,1年間で約1万7,000名弱の新卒リハ専門職が誕生している.こうした背景は,リハ専門職で構成される部門や部署の規模を短期間で大きくすると同時に,組織構成員の平均年齢の若年化を進行させる.事実,リハ専門職が属する職業分類における就業者の平均年齢は,35.1歳4〜6)と比較的若い.さらに,リハ専門職は,対象者に対して,自身が直接介入することで動機づけられるという特性もあり,マネジャーとしてよりも,プレイヤーとして対象者や組織に貢献したいと考える人が多い印象がある.つまり,OTを含むリハ専門職は,プレイヤーとして従事したいのにもかかわらず,比較的若いうちから,マネジャーやプレイング・マネジャーの役割を担わざるを得ない環境にいる可能性が高い.
本連載では,主に部署長等の監督者からリーダーまでのOTが,日常的に求められるマネジメントに限局して論述する.第1回は「作業療法士と組織マネジメント」,第2回は「計画と組織化」,最終回となる第3回は「リーダーシップとコントロール」を取り上げる.第1回の「作業療法士と組織マネジメント」では,筆者が考える作業療法とマネジメントの親和性に触れ,マネジメントへの関心が高くないOTであっても,マネジメントを身近なものとして理解することを目的とする.
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