特集 ADL・IADLアプローチ再考
扉
三上 直剛
1
,
中村 春基
2
,
西出 康晴
3
1日本作業療法士協会
2千里リハビリテーション病院
3倉敷中央病院
pp.671
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203424
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特集にあたって
日常生活活動(activities of daily living:ADL)とは,一人の人間が自立して生活するために行う基本的な,しかも各人ともに共通して毎日繰り返される一連の身体的動作群をいう.この動作群は,食事,排泄等の目的をもった各作業(目的動作)に分類され,各作業はさらにその目的を達成するための細目動作に分類される.手段的日常生活動作(instrumental activities of daily living:IADL)は,LawtonとBrody(Gerontologist 9:179-186, 1969)によって提唱された,ADLを社会生活まで拡大しようとした概念であり,IADLのスケールには,「電話の使用」,「買物」,「食事準備」,「家屋維持」,「洗濯」,「乗り物利用」「服薬管理」,「家計管理」等が含まれている.また,わが国においては,古谷野,柴田ら(日本公衛誌34:109-114, 1987)が開発した老研式活動能力指標がIADLの項目として活用されている.
これら人が営む行為を対象とする訓練は,応用的動作能力,社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法の範囲として周知されているところである.しかしながら,ADL訓練,IADL訓練を用いた治療プロトコルや診療行為に用いる用語を含め,標準的な規格が存在しておらず,保健・医療・介護の各段階においての作業療法の効果や作業療法を必要とする国民に対して有効に活用できる場面が限定的な状態である.
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