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Key Questions
Q1:私たちは子どもの力を過小評価しすぎてはいないか?
Q2:障害を重くしているのは私たちの不適切な対応ではないか?
Q3:いかに子どもに合った環境をつくるか?
はじめに
古今東西,子どもたちは遊びながら成長発達をしていく.いにしえより日々行われていることでもあり,誰しも否定しないことであろう.
運動機能に障害のある子どもたちの状態を「手足が動かない,座れない,歩けない」とみると,身体のそういった状態を改善することを最優先に考えてしまいがちになってしまう.運動機能障害のある子どもたちの問題点は,身体が思うように動かないことによって,成長の過程で本来経験できるはずのことを経験できずに年齢を重ねてしまうことではないかと考えている.私たちは,つい「手足が動かない,座れない,歩けない……」というところに目がいってしまいがちだが,運動機能障害の本質はそこではないのかもしれない.
障害とうまくつきあいながら豊かな経験を保障するためにはそれぞれの子どもたちに合った手だて(環境操作)が必要となる.この手だてがうまくいったとき,子どもたちは驚くべき姿を見せてくれる.その表情は喜びと自信に満ち溢れている.私たちは驚きと喜びのあまり,思わず「そんなことできる力もってたんか!」と口にしてしまうほどの衝撃を受けることも少なくない.そして同時に,子どもたちの力を低く見過ぎてしまっていたことを深く反省させられるのである.「障害が重いからできない.やってもわからない.発達的に課題ではない」などと一方的に考えていたことをとても恥ずかしく思い,子どもたちに謝りたい気持ちでいっぱいになる.もしかすると,障害を重くしているのは,私たち大人の対応のまずさなのかもしれない1).
今回は運動機能障害のある子どもたちの身体を使った遊びについて,支援学校でのいくつかの実践を通して述べていきたい.
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