連載 作業療法を深める・第76回
ホスピス・緩和ケアについて
前野 宏
1
Hiroshi Maeno
1
1医療法人徳洲会 札幌南徳洲会病院
pp.271-275
発行日 2023年3月15日
Published Date 2023/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203312
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はじめに
わが国においてホスピスケアが始まったのは,1973年(昭和48年)であるといわれている1).それは,柏木哲夫医師により大阪にある淀川キリスト教病院で開催されたOCDP(Organized Care of the Dying Patients)であった.日本でまだホスピスという言葉すら紹介されていなかった時期である.柏木は精神科医として米国に留学し,その留学先のワシントン大学で終末期患者に対する多職種によるチームアプローチを体験した.彼はその意義を強く感じ,帰国した後,淀川キリスト教病院でOCDPを開始したのである.
今年(2023年)はそれからちょうど50年になる.この間,わが国においてホスピスケアは発展・普及し,特にがん医療の中では必要不可欠な要素として定着している.
本稿では,ホスピス・緩和ケアとは何かを説明し,その歴史に触れ,中核概念である全人的苦痛およびチームアプローチにおけるリハビリの重要性について述べる.特にホスピス・緩和ケアを支える考え方である「ホスピスのこころ」におけるリハビリの重要な役割について述べてみたい.
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