特集 よりよい臨死患者のケアのために
ホスピスのケア
柏木 哲夫
1
1淀川キリスト教病院精神神経科
pp.1114-1117
発行日 1981年10月1日
Published Date 1981/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919360
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ホスピスの歴史的背景
Hospiceという語は元来ラテン語にその源を発し,HostとGuestという2つの語から起こってきたものである.中世の初めに,ヨーロッパ西部を中心に,修道院において,疲れた旅人に休息を与え,彼らに必要なものを与える場所であった.この時代においては,ただ死にゆく人への奉仕のみでなく,助けを必要とするすべての人々に対して,何人にもその扉を閉ざすことなく仕えていた.その後,十字軍の遠征が盛んになってきた頃には,沢山の巡礼者が聖地への,また聖地からの途上で立ち寄り,彼らに必要な休息と食事を与える場所であった.
その後,2つのカトリックの修道会が,特にそうした旅の途中で病にかかり,あるいは傷ついて自分の国へ帰ることができなくなり,異国の地で死んでゆく人々に特別の注意を向け,良い食事と清潔で暖かい衣服と寝床を与え,死に至るまで,あたかも家族の一員のように看護を続けた.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.