特集 緩和ケアの検証と今後の課題
ホスピス・緩和ケア病棟を検証する
恒藤 暁
1,2,3
1大阪大学大学院人間科学研究科
2大阪大学大学院人間行動学講座
3大阪大学大学院臨床死生学研究分野
pp.194-197
発行日 2002年3月1日
Published Date 2002/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903489
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わが国では1970年代にホスピスが紹介され,その必要性が言われ始めた.わが国で第1号のホスピスが1981年に聖隷三方原病院に誕生し,続いて院内病棟型ホスピスが1984年に淀川キリスト教病院に開設された.それ以降,医療従事者のみならず,一般の人々も高い関心を示すようになり,ホスピス・緩和ケア病棟が徐々に造られるようになってきた.
このような状況の中,旧厚生省は1987年7月に末期医療のケアに関する問題点をまとめ,患者と家族の要望に応える方策を検討する「末期医療に関するケアの在り方の検討会」を設置し,1989年には報告書「末期医療のケア」を発表している.1990年4月にホスピス・緩和ケアが医療保険の診療項目として正式に制度化され,「緩和ケア病棟入院料」という診療報酬項目が新設された.2000年度の厚生科学研究の研究事業において「緩和医療提供体制拡充に関する研究」班が発足した.筆者は,その研究班の主任研究者としてホスピス・緩和ケアの現状についてまとめ,報告書を発刊した1).本稿では,その報告書を中心にホスピス・緩和ケアの現状と今後の課題について述べる.
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