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Key Questions
Q1:GIGAスクール構想と現状は?
Q2:教育分野におけるICT活用の基本とは?
Q3:作業療法士の役割と課題とは?
はじめに
これから訪れるSociety 5.0の時代に備え,教育分野では大きな変革期を迎えている.2019年(令和元年)12月に文部科学省は「GIGAスクール構想」を打ち出した.GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の略で,「誰一人取り残すことなく,子どもたち一人ひとりに個別最適化され,創造性を育む教育,ICT環境の実現に向けた施策」とされている.2023年度(令和5年度)までに,小中学校や特別支援学校等の児童生徒に1人1台のコンピュータを配置して,デジタル教科書・教材等,良質なデジタルコンテンツの活用を促進し,併せて高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備していくという内容である.
昨今のコロナ禍で,オンライン授業の導入が求められ,このGIGAスクール構想が急ピッチで進められた.文部科学省の「端末利活用状況等の実態調査(令和3年7月末時点)(確定値)」1)によると,全国の公立の小学校等の96.2%,中学校等の96.5%が,全学年または一部の学年で端末の利活用を開始とある.このことから,現在はすでに1人1台がほぼ達成されている.これからの学びにはICTが必須となり,鉛筆やノート等の文房具と同様に,教育現場において不可欠なものとなった.
これまでも特別支援教育や発達領域の作業療法でICT活用の実践が多く行われてきた.対象者への合理的配慮を求め,学校にタブレット端末等が導入されることもあったが,特に通常の学校では弊害が多く,実際の使用はなかなか難しい状況にあった.個人の所有物を学校に持ち込むことで,管理や故障した際の補償といった問題や担任が機器を扱えず抵抗があって受け入れられなかったり,みんなは持っていないからといった間違った平等感によって受け入れられないこともあった.しかし,今後はこのような環境の変化によって,発達支援の必要な子どもへの支援の充実が期待される.これはOTの専門性を発揮するチャンスでもある.教育分野でのICT活用を紹介するとともに,OTの役割と課題について考えたい.
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