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Key Questions
Q1:在宅におけるICT支援に作業療法士としてかかわる可能性と課題とは?
Q2:ICT支援に必要な連携とマネジメントとは?
Q3:作業療法士としてテクノロジーとどのように向き合うのか?
はじめに
「最近,スマートフォンが使えなくなってきました」.当事者のこのようなニーズに,地域のOTとして対面したことはないだろうか.
情報通信技術(Information and communication technology:ICT)は生活の隅々にまで組み込まれ,意識・無意識を問わずこれに触れる時代となった.総務省の調査1)によると,スマートフォンの世帯所有率は,2010年(平成22年)の9.7%から2021年(令和3年)には88.6%へと増加し,10年足らずでほぼ全世帯の生活の中に浸透した.タブレットやPC等も加えたこれらパーソナルデバイスの普及に加え,個々のデバイスがインターネットにより統合されることで,人々の生産活動や余暇活動,暮らし方,時間の使い方には大きな変化がもたらされた.
一方,技術発展を基盤とした社会情勢の加速度的変化は,その反動として,技術が使えない・使えなくなってくることでの格差,いわゆる「デジタル・ディバイド」を生み出している.これらの困りごとは,在宅におけるOTの住環境整備支援にとって無視できない切実なニーズとなっている.
本稿では,在宅生活者へのICTを活用した支援の課題や多職種連携におけるOTの役割について述べたい.なお,ICT支援には,遠隔による診療支援や,徘徊探知に代表されるような見守りといった技術等も含まれるが,本稿では自分の意思でICT技術を活用,アクセス可能なものとする住環境整備支援として位置づけ,そこに,OTはどのようにかかわることができるのか事例を交えて述べたい.
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