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はじめに
ICT(information and communication technology:情報通信技術)の発展により,私たちの生活はますます便利になっている.パソコンやスマートフォン,タブレット端末等のICT機器を誰もが持ち,インターネットに気軽にアクセスするのがあたり前の時代になっている.最近では,AI(artificial intelligence:人工知能)やIoT(internet of things:モノのインターネット)によって,「Hey Siri」や「OK Google」と機器に話しかけると,調べ物をしてくれたり,ニュースを読み上げてくれたり,音楽や動画の再生をしたり,家電の操作を行ったり,ちょっとした雑談に答えてくれたりと,多岐にわたっていろいろなことができるようになっている.
このICTは,さまざまな障害特性や機能制限によって,「できない」,「わからない」といったことを,すぐに「できる」,「わかる」ようにしてくれる.また,本来もっている能力を補助したり,拡張したりすることもできる.ICTは,障害による困り感を解消して,社会参加を促せる画期的なツールとして広がりをみせている.これによって得られた「できる」,「わかる」といった体験や経験は,困難さがある人の「やりたい」という次の意欲を引き出し,発達を促すきっかけとなる1).
タブレット端末が一般化した2010年(平成22年)より,特別支援教育におけるICT活用も多くの実践報告がみられるようになってきている.発達障害によって,書くことや読むこと,聞くこと,話すこと,計算することに機能制限がある人や,時間やスケジュール等の予定の把握における機能制限がある人にも,これらのICT機器が活用されている2).
このICT関連の情報は,時代とともにどんどん変化している.情報を知っているのと知らないのでは,支援の内容が大きく異なってくる.われわれOTは対象者の生活を支援するうえで,これらの情報を共有していくことが重要である.
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