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Key Questions
Q1:介護分野における生産性向上とは?
Q2:生産性向上の取り組みにおけるPDCAサイクルとは?
Q3:作業療法士がかかわるポイントとは?
はじめに
日本では,急速な少子高齢化や人口減少を背景に介護分野の働き手が減少しており,生産性向上の取り組みの重要性はますます高まっている1).生産性向上は,単なる業務改善や効率化として捉えられがちであるが,一連の取り組みによって,職員の心身への負担軽減,働きがいや専門性の向上,対象者のQOLの向上につながる質の高いケアの提供を指向することで,最終的には介護の価値を高める現場革新を目的としたものである2).
介護現場における生産性向上のガイドライン3)(以下,ガイドライン)では,業務改善の手段について,次の7つの項目に整理している.①職場環境の整備,②業務の明確化と役割分担,③手順書の作成,④記録・報告様式の工夫,⑤情報共有の工夫,⑥OJTの仕組みづくり,⑦理念・行動指針の徹底である.このうち,「②業務の明確化と役割分担」では,介護ロボットの活用が明記され,「④記録・報告様式の工夫」では,転記をなくし,リアルタイムに入力ができる介護業務支援機器の活用,「⑤情報共有の工夫」では,インカム等を活用することでタイムリーな情報共有を可能とすること等,介護ロボット4)・ICT(以下,介護テクノロジー)の活用が手段として挙げられている.
作業療法士は,人と物(機器)との適合を図ることができ,対象者の自立支援を目標とした環境調整のコーディネートのノウハウをもっている.介護テクノロジー導入の支援や周辺技術の提供,組織マネジメントは,作業療法士の知見を大いに活かすことができる領域である.
本稿では,生産性向上の取り組みでの介護テクノロジーの活用に向けた作業療法士の役割と実践について概説する.
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