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Key Questions
Q1:Society 5.0に向けた本邦の取り組みの現状とは?
Q2:テクノロジーの発展による作業の変容とは?
Q3:Society 5.0において作業療法士が果たすべき役割とは?
はじめに
ICT(Information and Communication Technology)とは,通信技術を使ってヒトとインターネット,ヒトとヒトがつながる技術のことを指す.一方,デジタルとは,情報を数字で表す表現手法を指し,デジタル化された情報を扱う技術が発展している.これらの代表的な例としては,今までインターネットに接続されていなかったさまざまなモノが,ネットワークを通じて相互に情報交換をする技術IoT(Internet of Things),人間の脳をはるかに上回る精度で,人間には処理しきれない膨大なデータの高速処理を行うAI(Artificial Intelligence)等が挙げられる.このような技術は,遠い存在ではなくなっている.
ICT・デジタル技術は,その入り口の一つであるスマートフォンの世帯保有率が2021年(令和3年)時点において88.6%1)となっていることや,ICT,クラウドサービス,スマート家電,AIツールといった言葉を耳にすることも多く,私たちの生活にとって身近なものとなってきている.さらに最近は,オンライン会議やキャッシュレス決済といったかたちでICT・デジタル技術による生活の便利さを実感することも増え,人々の作業や暮らしぶりを変容させてもいる.こうした技術は,高齢者や障害を有する方(以下,当事者)においてもその生活を豊かにする有効な手段となり得る.しかしながら,当事者は,心身の状況と生活課題等が多様であり,ICT・デジタル技術の恩恵を受けづらいデジタル・ディバイド(情報格差)が生じやすいという課題がある.
こうした課題も含めて,人の営みすべてである作業を支援するOTには,ICT・デジタル技術の発展による作業そのものの変容に対応し,さらにその技術を活用した支援についても実践できることが求められている.そこで,本稿では,ICT・デジタル技術の発展により変容する作業に対して,OTが担うべき役割と課題について考える機会とする.
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