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Key Questions
Q1:学校作業療法の課題は,MTDLPを活用することで解決するか?
Q2:MTDLPを活用した学校作業療法は,特別支援教育を担う教員が求められる役割を果たす一助となるか?
Q3:MTDLPを活用した学校内外の連携は,切れ目ない支援を促進するか?
はじめに
1.学校作業療法の課題
特別な支援を受ける児童生徒が増加する中,特別支援教育をさらに進展させていくためのさまざまな取り組みが行われている1).最近では教育委員会による巡回指導や保育所等訪問支援のサービスにより,外部専門家としてOTが学校訪問し,児童生徒や教員への支援を行う学校作業療法に関する報告が散見される.学校作業療法を行うOTの多くは,OTの介入により教員の思考の枠組みが広がることや,クラスメートにとっても参加しやすい授業が提供されることを期待しており2,3),教員の特別支援教育に関する専門性の向上に寄与していると推察される.
学校作業療法の課題として,OTからの助言を授業に取り入れることが難しい,教員とOTが話し合う時間や情報を共有する時間が限られている等が報告されている4,5).また教員には,専門家の助言を教員間だけでなく保護者や福祉事業所等に伝え,活用することが求められるが,概して学校は外部機関と情報共有していないことや,専門家からの助言が外部機関にとって必要かわからないと感じている教員が多く,限られた時間で,効果的な情報交換や情報共有ができる方法についても検討が急がれる6).これらの課題を解決するため,生活行為向上マネジメント(Management Tool for Daily Life Performance:MTDLP)が有用なツールとなる可能性がある.
2.学校作業療法におけるMTDLPの活用
MTDLPの活用により,OTが提案した指導・支援方法に,「いつ」,「どこで」,「誰が」,「どのようにして」取り組むのか,支援者間の役割分担を明確にすることができる7).特に「生活行為向上マネジメントシート」は,学校作業療法を受けた教員が学校全体へOTの助言を伝えたり,保護者や福祉事業所等と役割分担したりといった,学校内外の連携を促すことに活用できる.
筆者はこれまでに,教員から依頼を受けて学校作業療法を行ってきた.現状の課題である専門家との連携を学校内外で有効に活用するため,学校全体への情報提供や助言内容を周知しやすい資料作成,医療・福祉施設との連携を促すかかわりを行っている.そこで,筆者が発達障害通級指導教室(以下,まなびの教室)で実施した学校作業療法で,MTDLP活用により学校内外の連携を促すことができた事例を紹介し,MTDLPを活用するうえでの工夫や今後の展望について考察する.なお,本報告にあたり,事例および事例の保護者,まなびの教室の教員(以下,まなびの先生)から同意を得ている.
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