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Key Questions
Q1:地域包括ケアシステムにどのように参加するのか?
Q2:身近にある地域包括ケアシステムとの接点は?
Q3:私,あなたがもつ顔はどのようなものがあるか?
はじめに
高齢者施策で取り組まれてきた地域包括ケアシステムは,高齢者に限定されるものではなく,年齢や障害の有無にかかわらず国民全体の仕組みとして意識すべき,誰にとっても大切なグランドデザインである.2017年(平成29年)には「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」報告書の中で,「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を目指すことが打ち出された.しかしながら「精神障害にも」と強調されている意味合いをどのように受け止めていらっしゃるだろうか? 「精神障害の分野が遅れている,見過ごされている?」,「精神障害は身近なことで,誰にとっても大切だから?」,「精神障害施策の一層の推進?」等,いろいろな視点から,強調される意味合いを考えることができる.どんな理由であれ,「誰にとっても大切なメンタルヘルス,精神障害」に対して,各都道府県,市区町村が地域課題や地域の実情に応じた仕組みづくり,体制整備を官民協働で推進していくことになっている.
厚生労働省では「精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業」を立ち上げ,各都道府県,政令指定都市の行政担当者,保健所の他,国が選任し,モデル圏域を担当する都道府県等密着アドバイザーと,同じく国が選任し,複数の都道府県を担当する広域アドバイザーが,官民協働でそれぞれの地域の支援体制,仕組みづくりを行っている.筆者も1年間広域アドバイザー(青森県),2年間密着アドバイザー(栃木県)として参加させていただいた.
本特集のテーマにある「OTには何ができるか?」という点では,この仕組みづくりを担う密着アドバイザー,広域アドバイザーに就いているOTは数名しかいない現状ではあるが,多くのOTは目の前の対象者の個別支援をする中で,希望する生活に向かって必要な機関や社会資源と接点をもち,連携体制を成熟させることで仕組みづくりの一助になっている.しかし,より一層の推進のためには,もう一歩踏み出し,われわれOT自身がこのシステムにどのように作用していくのかを実感する必要がある.今一度,地域包括ケアシステムの構築推進に向けて,皆さんが身近な地域においてどのような場所や人と接点をもち,OTの強みは何か,何ができるのかを一緒に考える機会に本稿がなれればと思う.
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