増刊号 こんなときどうする? 運動器の作業療法ナビ
第5章 合併症としての運動器の問題
3 運動器疾患を呈した方の「その人らしさ」を支える認知症ケア
木村 夏実
1
Natsumi Kimura
1
1福島県立医科大学
pp.900-904
発行日 2022年7月20日
Published Date 2022/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203081
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はじめに
加齢は認知症発症の危険因子の一つであり,1歳年齢が上がるごとに認知症の発症リスクが1.7倍ずつ増えていくと考えられている1).高齢者人口の増加に伴い,認知症高齢者だけでなく認知症高齢者にかかわる人も相対的に増えることが予想される.作業療法の対象でも認知症を合併した方は急増傾向にあり,主疾患だけでなく,認知症へのケアも求められている状況である.
作業療法は,「人は作業を通して健康や幸福になる」という基本理念のもと行われている2).作業とは「対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為」である.したがって,認知症のある方への作業療法も,まずその人がどのような“人”なのか,どのような状態で,何に困り,どうしていきたいのかを捉えることが重要となる3).そのときの状態に合わせて,「その人らしい」生活の構築を支援していくことが大切である.
そこで本稿では,運動器疾患を呈した認知症高齢者の「その人らしさ」に焦点を当てた対応について概説する.
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