Japanese
English
印象に残った症例
押す人症候群を呈した3症例
Impressive Cases: Three Cases with Pusher Syndrome
嶋田 誠一郎
1
,
井村 慎一
2
Seiichiro SHIMADA
1
,
Sin-ichi IMURA
2
1福井医科大学医学部附属病院理学療法部
2福井医科大学整形外科
1Department of Physical Therapy, Fukui Medical School Hospital.
2Department of Orthopedic Surgery, Fukui Medical School.
pp.203-205
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103710
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1.初めに
脳卒中片麻痺の急性期患者を担当する際,リハビリテーション専門病棟をもたない当院のような大学病院では,入院期間は短期となりがちである.長期的なリハビリテーションを必要とするような症例では,リハビリテーション専門病院に転院し,治療を継続することになる.急性期のリハビリテーションが患者の予後や入院期間その後の社会生活に与える影響を考えると,期間は短期であっても初期治療の適切性が問われることとなる.
近年,脳卒中片麻痺患者の健側機能の重要性が指摘され,著者もその重要性を常日頃感じている一人である.しかし今回報告する3症例は,患者が健側を用いようとすればするほど重心は支持基底面を離れ患側方向へと自ら倒れていってしまう,いわゆる“押す人症候群”を呈した症例である(表1).特に症例1を担当したころは,Daviesの著書も翻訳されておらず,症例に対しどうしてこんな簡単なことができないのかと逆に過剰な努力を強いさせることで悪影響を与えてきたと思われ,自らの浅学を後になって思い知らされた症例である.
理学療法を施行する上で,効果の挙がりにくいとされるこれらの症例に対する初期理学療法を転院後の経過や自らの反省を含め報告したい.
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