Japanese
English
特集 疾患別 バランス障害に対する作業療法
脳卒中のバランス障害に対する作業療法
Occupational therapy for stroke balance disorders
稲富 惇一
1
,
國友 晃
2
,
中西 健太
2
,
沖田 かおる
2
,
片岡 聡子
1
,
山本 伸一
3
Junichi Inatomi
1
,
Akira Kunitomo
2
,
Kenta Nakanishi
2
,
Kaoru Okita
2
,
Satoko Kataoka
1
,
Shinichi Yamamoto
3
1土佐リハビリテーションカレッジ
2愛宕病院
3山梨リハビリテーション病院
pp.396-401
発行日 2022年5月15日
Published Date 2022/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202956
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Key Questions
Q1:脳卒中のバランス障害の特徴とは?
Q2:バランス障害に対する包括的な介入方法は?
Q3:予測的姿勢調節への介入はどのように行うか?
はじめに
OTによるリハは,対象者の「よりよい生活行為の獲得」を目指して行われる.この生活行為の遂行度を決定する要因は複数あるが,その中でも重要度の高い能力はバランスである1).バランス能力は「姿勢保持や動作において支持基底面と重心線の関係を適切に保ち,目的とする課題を安定的に効率よく実行させる機能」と定義2)され,その構成要素は,運動発現と調整,感覚機能,認知力,筋機能,骨機能,予測的姿勢調節等,複数に及ぶ.
脳卒中後のバランス障害は,発症初期に約80%の人が呈しており3),生活期においてもしばしば出現するため,急性期,回復期,生活期のどの時期においても高い転倒リスクを伴う4).また,日常生活動作や社会参加の制限5),機能回復の阻害にも影響している6).このようにバランス障害によって生じる問題は多岐にわたるため,私たちOTがバランス能力の回復に向けて介入する優先度は高い.
本稿では,まず脳卒中のバランス障害の特徴と介入方法について記載し,次に症例提示を行い,作業療法介入の1例を紹介する.紹介した内容が対象者のバランス障害の改善につながり,よりよい生活行為を獲得する一助となれば幸いである.
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