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特集 高次脳機能障害児・者のライフステージに応じた作業療法
—学齢期まで—回復期リハビリテーション病院における学齢期までの高次脳機能障害児支援
Support for before school-aged children with cognitive dysfunction in the convalescerce rehabilitation hospital
山本 佳代子
1
,
坂本 一世
1
,
柳原 幸治
1
Kayoko Yamamoto
1
,
Ichiyo Sakamoto
1
,
Koji Yanagihara
1
1東京都リハビリテーション病院
pp.1020-1024
発行日 2021年8月15日
Published Date 2021/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202663
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Key Questions
Q1:小児期と成人期の高次脳機能障害者支援の違いは?
Q2:小児の高次脳機能障害支援の注意点とは?
Q3:回復期病院での小児の高次脳機能障害支援でできることとは?
はじめに
小児期発症の高次脳機能障害患者数は全国では5万人程度と推定され,成人における高次脳機能障害推計患者数の全国30〜50万人に比べて少なく,詳細な検討が十分になされていない1).小児期の高次脳機能障害の原因としては,急性脳炎,脳症が最も多く,他に低酸素脳症,頭部外傷,脳血管障害,脳腫瘍等が挙げられる2).
小児期の高次脳機能障害は,発症・受傷から半年以内の,いわゆる成人における「回復期」で確定診断されることは少なく,予後を予測することは非常に難しい.回復過程が成長期にある小児にとって脳そのものの発達過程にあり,脳の可塑性も影響し,かなりの長期間にわたって「回復期」をたどることとなる.したがって成人とは異なるさまざまな特徴をもつ(表)3,4).成人の場合は23歳ごろには前頭葉機能の発達が完了するため,脳損傷の状態を把握しやすく,損傷後は低下した部分の回復を目指すリハを行うが,小児の場合は発達段階にあるため,低下した部分の回復だけでなく,その後の能力の発達が必要となる.発達過程で徐々に周囲との開きが出てくることも想定し,中・長期的な支援を継続する必要がある5).
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