◆特集 学齢期における教育現場との連携
「学齢期における教育現場との連携」を考える
八田 達夫
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1広島大学医学部保健学科身体・精神神経障害作業療法学講座
pp.368-371
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
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はじめに
すべての障害児は障害の種類,程度にかかわらず,養護学校,特殊学級,普通学級へ就学する.私は広島大学医学部保健学科で発達障害作業療法学を担当しているが,大学附属病院にて1人の痙直型両麻痺児の作業療法を3歳時から約3年間にわたって継続してきた.本児は運動の他に注意集中,視覚的認知などに問題があった.言語能力は年齢以上であった.通園施設から保育所を経て,普通学級に就学した.就学前の1年くらいは道具使用,文字習得などの訓練に重点をおいた.現在も作業療法を継続しており,本児は学校が楽しそうでいつも友達のことなどを話してくれる.就学により一段と伸びたという印象をもっている.私は,このケースを通して就学前児に対する作業療法,学校との連携,さらにまだ先のことだが就労自立にも関心をもってきた.今回,このテーマを与えられたわけだが,作業療法士教育に携わる立場で,教育内容の問題として以下のような点について述べてみたい.まず,第1に発達障害領域の作業療法が関わるのは学齢児を含めた幅広い年齢層である.そのため,個々の作業療法士においては発達段階を軸におく子ども観をもつことが必要と思われること.第2に学校をはじめとした社会と関わっていくことは生活を基盤におく作業療法においては必然的であること.第3は障害者施策の動向との関連で,私たちの作業療法に対しても社会的な要請があると考えられ,そのひとつは学校教育との連携であることなどである.
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