増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第2章 支援技術Ⅰ 急性期から回復期の基礎
4 —基本動作の支援②食事動作—脳卒中患者の食事動作
宮下 徹也
1
Tetsuya Miyashita
1
1星が浦病院
pp.802-806
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202610
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はじめに
食事動作とは,文化的,社会的背景と切り離すことができないものであり,高いスキルを必要とする活動の一つである.また,食欲は生命を維持するうえで基本的な三大欲求の一つであり,人間は進化の過程の中で食にかかわる活動をより高いレベルで学習してきたものである1).文化的,社会的背景には,①食事場面への適応,②上肢の運動スキル,③食事のマナー,④食物に対する知識,⑤道具操作の技術等が挙げられる.その際に起こる自律的な身体反応を得ることで食事動作が成立する.脳卒中片麻痺患者はそれらの情報を的確に捉えることができず,一側主体の活動になり,代償固定による過剰筋活動や姿勢のゆがみが,口腔周辺と上肢機能に大きく影響を及ぼしてしまう.
本稿では,食事動作を円滑に行うために解決すべき具体的な問題を例に挙げ,先行期の問題,特に姿勢制御とそこに起きる身体反応・感覚情報等の知覚システムのかかわりについて述べていく2〜4).
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