症例研究
上肢被切断者の食事動作について
和田 博夫
1,2
,
福田 たづ子
1
,
伴野 ふさ子
1
1国立身体障害者更生指導所
2医務課
pp.61-65
発行日 1954年1月15日
Published Date 1954/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909498
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I.緒言
手足をいろいろの原因で失つたものが,まず考えるのは傷が治つたらいかにして世の中に處してゆけるだろうかということであろう。それは將来の職業をいかにしようかということなども含まれようがとくに上肢を失つたもの,そのなかでも左右ともに失つたものなどは,まず第一に毎日の日常生活をいかにして過せるであろうかと悩むことであろう。これらの人々が社会的に更生するためには,Atha Thomas & Chester C. Haddanの言葉を待つまでもなく,肢体障害を克服して職業を身につけるにさきだつて,日常の諸動作に習熟しなければならない。しかし,これらの人々の経過を考えてみると,手足を失つて病院で治療を受けているあいだには,附添い又は看護婦などの助けにより日常生活の諸動作を行い,自宅に帰つた当初はなにかと家族のものの世話になりながらやつてゆくのであるが,月日の経過とともになかなか家族のものも,すみからすみまで心を配つてやるという訳にはゆかず,けつきよく手足を失つたものが,不自由をしのび工夫をこらして日常動作を行うようになるのであり,ついにはこんなことまでがということが殘された手足や口などを用いてできるようになる。
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