連載 目標設定のエビデンス・第3回
脳卒中者に対する目標設定
田代 徹
1
,
生田 純一
2
,
山口 理恵
3
,
御書 正宏
4
,
高瀬 駿
5
,
友利 幸之介
6
Tetsu Tashiro
1
,
Junichi Ikuta
2
,
Rie Yamaguchi
3
,
Masahiro Gosho
4
,
Shun Takase
5
,
Kounosuke Tomori
6
1福岡リハビリテーション病院
2農協共済中伊豆リハビリテーションセンター
3伊丹恒生脳神経外科病院
4周南リハビリテーション病院
5川崎医療生活協同組合 川崎協同病院
6東京工科大学
pp.662-667
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202575
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脳卒中の目標設定
2015年(平成27年)の「作業療法白書」1)によれば,作業療法の対象疾患として脳卒中の割合は身体障害領域で80.0%,介護保険領域では90.3%を占めている.脳卒中は,運動障害,高次脳機能障害といった重篤な障害が突然襲いかかり,それまでの生活や社会的役割の変更を余儀なくされる.リハで生活の再設計に取り組む際,ポイントとなるのが目標設定のプロセスである.
目標設定は,リハで取り組む課題を特定し,目標の優先順位を決め,目標達成の可否を対象者が判断する,といった工程が含まれ,これらを通して対象者中心の実践を促進するためのツールとして考えられている2).しかし対象者中心の実践が常に正しいわけではなく,実際にはさまざまな障壁があるとも報告されている.目標設定における促進・障壁となる因子を表に示しておく3).本稿では,脳卒中の目標設定について病期ごとに概説した後,特に目標設定が困難となる脳外傷と失語症に関して現状の具体案を紹介する.
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