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特集 脳腫瘍と作業療法
脳腫瘍の治療とリハビリテーションの重要性
Brain tumor treatment and importance of rehabilitation
田中 將太
1
Shota Tanaka
1
1東京大学
pp.226-231
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202431
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Key Questions
Q1:悪性脳腫瘍で最も多い神経膠腫の治療法は何か?
Q2:術後に悪化,新出する神経症状の予測に有用なのは何か?
Q3:悪性脳腫瘍患者に対するリハビリテーション,作業療法の特殊性は何か?
はじめに
私が専門とする悪性脳腫瘍は,髄膜腫や神経鞘腫といった良性脳腫瘍の多くが脳実質外に発生するのと対照的に,脳実質内に発生する.しかるに,良性脳腫瘍以上に多彩な神経症状を呈して発症することが多く,また腫瘍摘出に際しては,脳実質に切り込むため術後に神経症状が悪化するリスクが高い.さらに,全摘出すれば後療法なく治療終了となる良性脳腫瘍と異なり,悪性脳腫瘍では,脳実質に浸潤する腫瘍細胞の残存,あるいは播種・転移の可能性に対し放射線療法や化学療法による後療法が必須であり,腫瘍も再発しやすいため,闘病の過程で神経症状が悪化しやすい.したがって,悪性脳腫瘍の患者が良質な生活を維持するにあたりリハビリテーションは必須であり,がん治療の有効性評価には,腫瘍制御,生命予後の観点のみならず患者の生活の質の観点も重要であるという認識が広まった今,リハビリテーションは悪性脳腫瘍治療の一つといえよう.
本稿では,悪性脳腫瘍の診断と治療について,また悪性脳腫瘍患者に対するリハビリテーション,作業療法の重要性について,神経膠腫に焦点を当てて概説する.
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