連載 老いを育む・第9回
自分の老いを生きるⅡ
柏木 哲夫
1
Tetsuo Kashiwagi
1
1淀川キリスト教病院
pp.176-177
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202410
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前回,執筆と講演を通して私なりの「人間理解」を人々に伝えるのが私自身の老いを生きることになる……と書きました.そして前回は<執筆>について書きましたので,この章では<講演>について記します.
私が講演の依頼を受け出したのは,米国への留学から帰国して,淀川キリスト教病院で働き出してからでした.留学中に経験した末期患者へのチームアプローチ等を請われるままに講演しました.このチームアプローチはホスピスケアにつながるのですが,当時の日本の医学界では実に新しい分野でした.患者さんの治療にチームで取り組む,しかも,末期患者にチームアプローチをすることは,まったく新しいことでした.私はこの新しい取り組みをOCDP(Organized Care of Dying Patient)——死にゆく患者への組織的ケア——と名づけました.日本で初めてのホスピスケアのスタートでした.
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