連載 老いを育む・第3回
よき老いを生きる
柏木 哲夫
1
Tetsuo Kashiwagi
1
1淀川キリスト教病院
pp.1022-1023
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202227
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物事のプラス面をみる
歳をとるにつれて,さまざまな身体機能が低下します.それは避けることができないのですが,それをどのように捉えるかは人によってかなりの違いがみられます.捉え方によって,その人の老後が幸せになったり,不幸になったりします.それほど「捉え方」は大切です.歳をとると,視力と聴力が低下することは避けられません.不思議なことに,この両方が同時に低下することは少なく,どちらかが早く始まります.そして,「視力は落ちたが,聴力は問題ない」という場合の表現が,人によって違います.「耳はよく聞こえるのですが,目が見えにくくて困っています」と言う人と,「目が見えにくいのですが,おかげさまで,耳はよく聞こえます」と言う人があります.前者は「目が見えにくくて困る」というマイナス面に意識がいっています.後者は「耳はよく聞こえる」というプラス面に意識がいっています.プラス面をしっかりみることが「よき老いを生きる」コツだと思います.
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