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Key Questions
Q1:再犯防止推進計画とは?
Q2:一般就労と福祉的支援の狭間にある者とは?
Q3:更生保護施設におけるOTの役割や関与の可能性とは?
はじめに
2017年(平成29年)12月15日,「再犯の防止等の推進に関する法律」(以下,再犯防止推進法)に基づき「再犯防止推進計画」が閣議決定された.再犯防止推進計画策定の目的に目を通すと,わが国の現状では刑法犯の件数は減少を続けているものの,刑法犯により検挙された再犯者が占める割合は上昇しており,その背景には,貧困や疾病,嗜癖,障害,厳しい生育環境,不十分な学歴等,さまざまな生きづらさを抱える環境があることが指摘されている1).再犯防止推進計画の背景には,犯罪をした者が地域社会で孤立しない支援を行うために,刑事司法関係機関のみによる取り組みを超えた就労,教育,保健医療・福祉等関係機関や民間団体等との密接な連携が必要だと指摘されてきたことがある1).この再犯防止推進計画には,表 1に示した7つの重点課題が挙げられており,このうち,就労・住居の確保等のための取り組みの中には,具体的施策の一つとして,「一般就労と福祉的支援の狭間にある者の就労の確保」が示されている.
障害者に対する就労支援は,作業療法が歴史的にも知識と技術を蓄積してきた領域である.しかしながら,再犯防止推進計画が掲げる「一般就労と福祉的支援の狭間にある者」への支援において,作業療法は社会保険対象外であり,また研究もほぼ存在しない現状にある.このような中,筆者らは2019年(令和元年)に法務省矯正局から共同研究のオファーを受け,作業療法の視点を活用した刑務所,少年院での効果検証を行ってきた.この結果をさらに活用するため,2020年度(令和2年度)より更生保護施設,保護観察所と研究協定を結び,一般就労と福祉的支援の狭間にある者を対象に就労支援のための作業療法プログラムを活用した介入研究を開始した.本稿では,介入に至る現在までの経緯と今後の方向性について報告する.
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