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はじめに
Constraint-induced movement therapy(CI療法)は,エビデンスが確立された課題指向アプローチ(task-oriented approach:TOA)の代表格である1,2).しかし,近年,TOAに対して否定的な論文を散見する.Frenchら3)は,TOAを含む反復課題練習のエビデンスは低〜中位程度であると報告した.Waddellら4)は客観的な指標である活動量計を用いて,TOAの生活における麻痺手の使用行動に及ぼす影響を検討した.結果,TOAは生活における麻痺手の使用行動に影響を与えないと報告した.さらに,彼らは改善した上肢機能も生活で実際に麻痺手を使用できる能力と相関がなかったと報告した.
そこで,TOAとCI療法を一括りにした一部の研究者から,CI療法に対する批判も噴出している.しかし,Morrisら5)は,CI療法は麻痺手による量的練習,TOA,麻痺手の生活における使用を拡大するための行動学的戦略(transfer package:TP)の3つのコンポーネントから構成されており,TOAはCI療法を構成する一側面でしかないことを示している.また,われわれも慢性期の脳卒中後上肢麻痺を呈した対象者に対し,TOAのみを実施した場合には長期的な効果を上げたり,効率的な生活における麻痺手の使用行動につながらないことを明らかにしている6).これらから,CI療法が脳卒中後の麻痺手の機能を改善し,その機能を生活に活かすためには,TOAだけでは不十分であることが明らかである.本稿では,CI療法の3つのコンポーネントの実際を説明し,CI療法の特徴と近年試行されている新たな形態について述べることとする.
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