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外来作業療法,精神科デイケア両者ともに外来者を対象とした,病院等の精神科医療機関で実施されているリハ機能である.外来者が利用できるリハとしては同じと考えてもよい.精神科作業療法の枠組みであるか,精神科デイケアの枠組みであるかの違いである.本来は提供するサービスに大きな違いはないが,運用によってはさまざまなかたちでのサービスが提供可能となる.基本的には精神科作業療法でできて,デイケアでできないことはない.デイケアでできて,精神科作業療法でできないこともないと考えていい.やりにくいことはあるかもしれないが,基本的には「どう運用するか」で解決することができる.一方で,より,その構造や機能を活かし,最大限の効果を対象者へ提供するためには,両者のポジティブな側面を活用することが重要である.
精神科医療機関におけるリハは,それぞれの所属機関のスタイルや地域からの要請等によって,さまざまな役割が期待されて存在している.どういった役割であれ,リハ施設としては,対象者が「いい感じに生きる」ことに役立つものでなければならない.対象者の主観的幸福について真摯に向き合うこと,正しいことばかりではない精神科医療に対してそれを自覚し,誠実にモニタリングし,必要なものは改善に向けて動き続けることが重要だと筆者は感じている.人は慣れることができる生物であり,OTも習慣化することで日々の作業(業務)を容易に行えるようにもなる.しかし,ともすれば無批判にルーティン業務を実施することにもなってしまう.自分が作業療法として実施していることが,何につながりどうなっていくのか,患者さん個人だけでなく,組織だけでもなく,これからの精神科医療の未来を考えていく中で,どのようにしていくべきなのかのモニタリングとメンテナンスを欠かしてはならない.
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