とびら
精神科デイケア雑感
池松 洋子
1
1福間病院
pp.483
発行日 1988年8月15日
Published Date 1988/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104069
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11か月の入院生活を送り,退院してデイケアに通所するようになった18歳のN君は,初めから活動やみんなの輪の中に入れず,デイケアの片隅で寝ていることが多かった.スタッフがN君にもできそうな活動に誘ってみても,彼は尻込みし,すぐにいなくなってしまう.そこで,せめてみんなが集まるミーティングのときだけでも顔を見せるように伝えてもなかなか約束が守れない.無精ヒゲは生やしているし,運動不足でどんどん太るばかりだし,どうしたものかと,担当の私は考えあぐねていた.
しかし,2か月ほどたつと,2~3人のメンバーとわずかだが交流がみられるようになった.その後,入院中に顔なじみであったTさんがデイケアに参加するようになり,彼からマージャンを教えてもらったことをきっかけにして,N君の交友関係は広がった.そのころからN君は,少しずつ活動に参加したり,スタッフの援助を受けながら行事の実行委員を引き受けたりするようになり,徐々に自信をつけてきたように思えた.
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